【家族信託】家族信託で受託者を法人(一般社団法人)にする方法
第1章 法人が受託者となる際のポイント
法人を受託者にすると死亡による相続が発生しないので、継続的な信託を確保できます。
特定の故人は、死亡等のリスクがありますが、法人は死亡のリスクはありません。
しかし、法人には、倒産リスクがありますので、倒産リスクを最小限に抑えるために、その信託の受託だけを目的とする一般社団法人を設立するのが一般的です。
※個人が受託者である場合の問題点
個人が受託者である場合、思わぬ事故や病気により死亡することや、病気、高齢などの理由により信託財産を管理する行為能力が喪失する可能性があります。

その場合、信託が機能しなくなってしまいます。
また、受託者の都合により急遽信託の管理が出来なくなる場合もあるかと思います。
個人を受託者とする場合、第二受託者を信託契約に定め、予備的に受託者を定めることも可能ですが、第二受託者が就任を引き受けるかどうかは、その時点での判断となるので、信託契約締結時には、了解していたとしても、いざとなったら引き受けてもらえないケースもあり得ます。
営業目的で信託を受託しないこと
法人が受託者となる場合、信託業法の問題が生じます。なぜなら「信託業は、内閣相だ理大臣の免許を受けたものでなければ、営むことは出来ない」と規定されているためです。そこで、営利を目的としない一般社団法人を設立し、そこで信託目的(福祉支援など)に限って活動を行う様にするのです。
受託者の選択が広がる
受託者を法人とした場合、信託事務を担う者の選択肢が広がります。
通常の信託では、委託者の家族が受託者になるのが一般的なのですが、法人を受託者とした場合には、家族以外の者が信託事務を担当することも可能です。
以下で詳しく説明します。
一般社団法人を受託者とするメリット
✔突然の死亡や、行方不明ということがなく、安定して信託を進められる
✔受託者死亡の時、相続の名義変更手続きが無く、手続きが楽
✔法人の役員を自由に決めることができ、後から自由に変更ができる。
第2章 一般社団法人を受託者とする手続きの流れ
①社員、理事を決める
社員とは、一般社団法人の構成員であり、意思決定機関です。(会社で一番権限を持つ人)最低2人以上の社員が必要になります。
社員は、まず受託者の家族が社員となることが想定されます。
財産を所有し、財産の管理・処分をする権限を持つのは、社員だからです。
また、状況により税理士、弁護士、司法書士等専門家が社員になることも考えられます。
その場合、社員となる者は、客観的な第三者として決定権を持つので、大きな信頼が前提となります。
理事とは、決められた範囲の中で業務執行を行う、代表者と言うことができます。
家族にするのか、専門家が就任するのか、複数にするのか等検討が必要になります。
②定款を作成する
一般社団法人の設立は、社員が共同して定款を作成し、公証人の認証を受けなければなりません。
ここで最も大切なのは、定款の目的です。
一般社団法人は、目的に従って業務を行うので、目的が明確であればあるほど、信託財産を守ることができます。
定款の目的例
| 当法人は、A、B夫婦の幸福な生活と福祉を確保し、もって生涯にわたる上記2名の安定した生活と最善の福祉を確保するための支援を行うことを目的とし、以下の事業を行う。 (1)Aの財産を信託財産とする信託の引き受け (2)前号に付帯する一切の業務 |
③一般社団法人を設立登記をする
内容を決めたら、次に法人の設立を行います。
設立にかかる費用は、下記のとおり。
設立時費用 定款認証費用 5万円 公証人費用
登記費用 6万円 登録免許税
司法書士費用 7万5000円
合計 18万5000円程
設立後費用 会計、決算 税理士による
法人住民税均等割 年間7万円
理事報酬 定めによる。
設立費用に18万5000円程、年間維持費が最低でも7万円は発生します。
信託財産の規模に応じて税理士に決算を依頼するか、理事報酬が発生するか決定します。
④信託財産の分別管理をする
登記が完了したら、信託財産に帰属する財産と受託者の固有財産を分けて管理しなければなりません。
信託財産が金銭の場合、受託者がその金銭を自身の財産と分別して管理すればよいのですが、現金を自身で管理するよりも、信託口口座に預け入れて管理したほうが確実な分別かんりとなります。
そこで、預金は、法人名義の信託口座を銀行に開設して管理します。
不動産は、受託者である法人に名義変更登記をして確実な分別管理を行います。
※分別管理をすることにより、委託者が信託後借金をして返せなくなったとしても、法人名義に移してある財産に対し、強制執行はできません。信託財産を守るためにも必ず分別管理を行います。
また、信託口座を銀行で作るときには、下記の注意が必要です。
✔口座名義は、どのようになるのか
※口座名義が「委託者A 受託者B 信託口」となっているか
✔信託期間中に委託者・受託者が死亡したとき、手続きは必要か
※死亡時に相続手続きが必要な場合は、信託口座でない可能性が高いです。
✔通帳に記載されるお客様コードは委託者、受託者と異なるか
※コードが同じ場合、信託口座で無い場合があります。
信託口座を作成する場合は、信託銀行がオススメです!
第三章 一般法人を受託者とする問題点は?
金融機関の一般社団法人への融資事例は、ほぼありません。
将来、収益建物の建築や、修繕等のために信託財産を担保に融資が受けられないので、有効活用が限られてしまいます。
一般社団法人を活用した信託契約もお気軽にご相談下さい。