司法書士が解説!戸建て、空き家を貸したい場合の問題点、注意点と対処方
戸建て、空き家を貸したい場合の注意点
まず、注意しなければいけないのが、日本の賃貸借契約では、借主にとても有利なものとなっていることです。
これは、借地借家法という特別な法律で、生活の基盤となる住宅の借主に対しては、家賃を数か月滞納する等、特別な事がない限り、貸主からは基本的に賃貸借契約を解約できない事になっているのです。
具体的には、以下、主に4つの法律によって借主が保護されています。(貸主が困る法律とも言えます。)
- 戸建て、空き家を返して欲しい時に返してもらえない
これが最も注意をしなければいけません。期間満了期間満了したとしても正当な事由がなければ貸主から解約をすることはできません。しかも、その正当な理由というのが「家賃を3か月滞納した」「建物に倒壊の恐れがある」など、かなり限定されているのです。(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
借地借家法第28条
建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。 - 建物が壊れたら、貸主が修繕しなければならない
(賃貸人による修繕等)
民法第606条
賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。
賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人は、これを拒むことができない。 - 賃借人が修繕・増築・改築などをした場合、貸主が代金を支払わなけばならない
(賃借人による費用の償還請求)
民法第608条
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第196条第2項の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。 - 賃借人が設置したエアコンなどは、買い取らなければならない
(造作買取請求権)
借地借家法第33条
建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。
前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。
<4つの貸主に不利な法律の対処方法>
まず、2~4の問題は、簡単に解決できます。それは、契約書に2~4の条項を排除する文言を入れれば良いのです。
例)
2「民法第606条に定める賃貸人の修繕義務を免除する」
3「民法第608条に定める賃借人による費用償還請求権を排除する」
4「借地借家法第33条に定める賃借人による造作買取請求権を排除する」等
※契約書に記載する際には、空き家であること、その分家賃が安い事などを伝えて、後日トラブルにならないように注意しましょう。
<1「戸建て、空き家を返して欲しい時に返してもらえない」借地借家法28条問題の対処方法>
これが一番貸主にとって厄介な問題です。
なぜなら、この法律は、強行規定と言って、契約書でも排除が出来ないのです。
戸建て、空き家を賃貸に出す事をためらう一番の理由になると思います。
対処方法としては、
①定期借家契約(貸し出す期間をあらかじめ決めておく)
②店舗として貸し出す
③使用貸借(タダで貸す)というものがあります。
対処法①定期借家契約とは
通常の契約では、借主保護の観点から、貸主からの解約や更新の拒絶は、正当な事由がない限りできません。
このため、貸し出さずに、そのまま空き家になってしまうなど、住宅の有効活用ができない実情がありました。そこで、2000年に「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」が誕生し、定期借家契約が導入され、一定の契約期間に達したら契約が終了する借家制度が使えるようになりました。
この契約にて賃貸をすれば、あらかじめ決められた期限に必ず物件を返してもらえる様になります。
契約の方法としては、契約期間に定めがあることを明示した書面による説明、書面による契約が必要となります。
また、1年未満の契約期間の定めも有効となります。
そして、貸主と借主が合意すれば「再契約」を行い、継続して住み続けることができます。
※再契約をする場合、従前の契約内容を見直すことが可能です。
対処法②店舗として貸し出すメリット
生活の基盤となる家を借りた場合は、借地借家法28条によって借主を保護する制度(返してほしい時に返してもらえない)がありますが、店舗であれば、生活の基盤とは異なりますので、契約で定めれば、自由に期限や制限を決められる事が可能です。
また、市町村の空き家を改装する際の補助金として、店舗に改装する方が手厚くしているケースがあります。
対処法③使用貸借としてタダで貸す
使用貸借契約によって貸し出した場合、いつでも解約ができるというメリットがあります。
また、修繕義務は、契約書で定めなくても、借主の負担となります。
さらに使用貸借は相続の対象にならないので、借主が死亡した段階で契約が終了することになります。
しかし、家賃が貰えないのでは、空き家の所有者にとって不利になってしまいます。
そこで、建物の貸し出しとは別契約にて、駐車場使用料として金銭を受領する等の事が考えられます。
以上、戸建て、空き家の貸し出しをする場合には、多くの注意点があります。
しかし、法律を正しく理解することで有効に活用することが可能になるのです!