不動産名義変更をしたいが、相続と生前贈与、どちらが良いか?
不動産の名義変更をしたいが、相続と生前贈与どちらが良いのか?
親や夫の所有する不動産を自分や家族に名義変更をしたいが、生きている内に手続きをしたほうが良いと聞いたことがある方も多いと思います。
この記事では、相続と生前贈与のそれぞれのメリット、デメリット、費用の差などを解説致します。
最後に売買による手続きの検討をご紹介致します。
相続と生前贈与の違い①時期
まず、大きな違いとして、いつ名義変更できるかという名義変更可能な時が違います。
相続の場合→所有者が亡くなった後
生前贈与の場合→いつでも可能
相続手続きの場合は、あくまでも所有者死亡後に行うものなので、いつ所有権が移転できるかは不明確になります。すぐに名義変更をしたい場合は、生前贈与を検討しましょう
相続と生前贈与の違い②費用、税金
2つ目の違いとして、費用及び税金が異なります。
基本的には、相続の場合の方が費用、税金とも安くなります。
少しでも安く名義変更をしたい場合は、所有者が亡くなった後に手続きをすると良いでしょう。
相続の場合の費用、税金の具体例
相続の場合は、所有権移転登記費用として、不動産評価額の0.4%が発生します。
また、税金としては、相続税があるのですが、3000万円+(法定相続人の数×600万円)の基礎控除があるので、相続人が1名の場合でも、所有者が有する財産の価格が3600万円を超えなければ相続税が発生することはありません。
相続税が発生したとしても、贈与税よりも税率が低いので、一般的には税金面でも相続の方がお得になります。
例)不動産の評価額が1000万円の場合
・相続による所有権移転登記費用4万円
・相続税なし(他に財産がない場合)
名義変更の費用だけで見れば、4万円で済むことになります。
生前贈与の費用、税金の具体例
生前贈与の場合は、所有権移転登記費用として、不動産評価額の2%です。(相続の場合の5倍の金額です!)
そして、税金として、基礎控除額が110万円しか無いので、それを超えた分に対して贈与税が発生します。
例)不動産の評価額が1000万円の場合
・贈与による所有権移転登記費用 20万円
・贈与税 231万円
合計251万円 相続の場合の約63倍にもなってしまいます!
これだけで見ると、あまりにも高額になってしまうので、いくつかの税金対策が用意されています。今回は、税金の優遇措置のいくつかを紹介致します。
生前贈与の税金対策①配偶者控除の特例を利用する。
夫から妻、妻から夫に、夫婦間で居住用財産を生前贈与をする場合は、税金の優遇処置があります。
「おしどり贈与」とも呼ばれています。
婚姻期間が20年以上の夫婦で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、2000万円まで贈与税が発生しなくなる制度です。
特例を受けるための要件
- 婚姻期間が20年を過ぎていること
- 贈与を受ける財産が居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
- 贈与を受けた翌年3月15日までに夫婦間贈与特例の贈与税申告を税務署に行うこと
こちらの要件に当てはまる場合は、生前贈与をしても登録免許税のみでOKです。
例)不動産の評価額が1000万円の場合
・贈与による所有権移転登記費用 20万円
生前贈与の税金対策②相続時生前贈与の特例を利用する
相続時精算課税制度とは、2500万円までの特別控除以内であれば、贈与税が発生しないで贈与ができる制度です。
特例を受けるための要件
- 60歳以上の父母、祖父母(直系尊属)から18歳以上の子、孫(直系卑属)に対して、贈与すること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署に申告をすること。
要件に当てはまっていたとしても、この制度を使うには注意が必要です。
今回控除になった金額分が、所有者が亡くなった時の相続税の非課税金額が減ってしまう事になるからです。
つまり、相続税の非課税枠の前借りをしている事になるのです。
また、そもそも所有者に相続税が発生しなければ、相続税非課税分を今回の相続時精算課税制度で使用しても、問題無いことになります。
例)不動産の評価額が1000万円の場合
・贈与による所有権移転登記費用 20万円
贈与税は、高額になりやすいので、特定を上手く活用して手続きをしましょう。
相続と生前贈与の違い③ 手続きの関与する人
最後の違いとして、手続きをする為に協力が必要になる人が異なります。
- 相続の場合→遺言書がなければ、相続人全員の同意がなければ名義変更が出来ません。
※相続人の内一人でも反対する人がいたら、名義変更が出来なくなってしまいます。また、協力を得るために、相続分を支払う等、費用が発生する場合もあります。
相続人で協力が得られなそうな場合は、遺言書を書いて貰うか、生前贈与を早めに検討した方がよいでしょう。 - 生前贈与の場合→所有者と受贈者の2名だけで手続きが可能です。
※他の方の関与を必要としないので、比較的簡単に名義変更が可能となります。
その他の方法として、売買による不動産名義変更も検討してみましょう。
生前贈与の場合は、上記の通り、税金が高額になってしまいます。
税金の控除に当てはまらない場合でも、すぐに名義変更をしたい方は、売買による名義変更も検討してみましょう。
売買とは、金額を支払って不動産を取得することです。
これであれば、贈与税が発生しないのですが、支払う金額に注意が必要です。
市場価格を支払えば問題無いのですが、親族間だと金額を安く設定する事が多いかと思います。
売買代金が安すすぎると、市場価格と売買代金の差額が贈与とみなされ、贈与税が発生してしまう事があるからです。
市場価格がわからない場合は、市役所が算出している不動産の評価額をが一つの目安になリます。
また、売買代金の支払いが必要になるので、そのお金を用意する必要があります。
例)土地評価額 800万円
建物評価額 200万円 の不動産を1000万円で買い取った場合。
売買による所有権移転費用 16万円