【家族信託】家族信託の必要性を考える~信託とは?~
第1章 家族信託の必要性を考える
信託は財産の管理と承継を合わせて行うことが出来る仕組みです。
超高齢の日本社会では、財産の多くを高齢者が保有しており、平均寿命は延びています。
しかし、高齢者の認識力は弱くなっていくことが多いため、その財産管理における問題は、深刻になっていくと考えられます。このことから、今後は信託活用のニーズは高まっていくと思われます。
✔ 信託は高齢者の財産管理の問題への有力な解決方法
信託の設定により、受託者(財産を受ける方)は、委託者(財産を有している方)から財産の移転を受け、その管理を行います。通常だと、委託者=受益者(利益を受けるかた)となります。
信託財産の管理を任せ、これまでと同様に財産から利益を得続けることができます。
信託開始後、委託者が高齢で意思が衰えたとしても受託者が財産管理を行っていくため安心です。財産の維持、収益は、受託者が行うからです。今後も活用が広がるものと考えます。
また、信託は後見制度と併用し活用できるため、後見人をあらかじめ決めておき、高齢者に代わり法律行為が出来る様に任意後見契約を締結し、より万全に準備をしていく必要があります。
✔信託は、財産を移転させるため、受託者の判断で契約に従い、財産を管理することができる。
✔後見制度は、高齢者の代わりとなって、様々な契約や高齢者自身の財産管理を行うことができる。
第2章 信託の仕組み・その特徴とは?
信託には、委託者・受託者・受益者の3者が主に登場します。受託者は、委託者の信託への想いを引き受けて、財産の管理・処分をします。
受益者は、信託財産の収益を受ける者です。
委託者とは?
信託を設定するもので、信託財産を渡す人であり、信託目的(信託の内容)を設定する人ということになります。
受託者とは?
信託財産を引き受け、事務を遂行する人です。財産を担うわけですから、大きな責任があります。信託目的に従い信託財産の管理・処分をしていきます。
受益者とは?
信託の利益を受ける人をいいます。契約の定めにより受益者となるべき者と指定された人です。受託者より信託財産に関わる利益の給付を得ていきます。
信託の方法
信託を行うことを「信託行為」と言い、①信託契約による方法②遺言による方法③信託宣言による方法がありますが、一般的には①信託契約による方法がほとんどです。
信託財産
委託者が受託者に託し、移転させた財産であって、信託により管理、処分すべき財産です。
不動産や預貯金、株式なども信託財産にすることができます。
基本的な信託の特徴
①委託者から受託者に財産が移転すること
②受託者が管理処分権を有し、内容は契約により規制がなされていること
③受益者保護がなされていること
信託を設定するとその財産が信託事務を取り扱う受託者に名義が変更されますが、受託者自身のものになる訳ではありません。
信託財産は、誰のものでもない、一種中立的な財産ということになります。
信託事務の内容は、信託の目的に従った財産の管理と処分です。受託者の義務は最初に定めた契約内容に従います。
受益者保護に関する仕組みとしては、信託監督人・受益者代理人を定めるという方法があります。
第3章 相続・事業承継において、信託が有効な理由
特定の者に特定の財産を確実に承継できる。
相続時に速やかに資産を承継したいときに遺言などと比べて有利な場面があります。
遺言では、遺言者が亡くなって初めてその効果が得られますので、関係者にとっては気が気ではありません。もし仮に新しい遺言書を書いた場合や、自筆証書遺言が見つからなければ、財産の承継がスムーズに行かないことがあるからです。
信託を活用すれば契約後直ちにに効果が生じ、財産の移転は確実に行うことが出来ます。
相続手続きを省略できる
すでに財産を受託者に移転させているので、相続手続き(銀行の預貯金解約や、不動産の名義変更手続きなど、)をせず、仮に委託者が死亡したとしても今まで通りの財産運用が可能になります。
柔軟な制度設計が可能
家族の資産状況や関係性を踏まえ、きめ細かい要望を決めることが出来ます。これは、遺言では出来ないことです。例を挙げてみましょう
負担付遺贈と信託
遺言において、負担付遺贈という制度が利用されます。
これは、財産を取得する代わりに義務を負担させるというもので、例えば「長男Aに自宅不動産と預貯金300万円を相続させる代わりに、Aは、遺言者の妻を自宅に引き続き住まわせ、老後の支援を義務付ける」などの遺言です。
しかし、この場合で当初は母親の面倒は見ていたものの、そのうち生活の支援をやめてしまい、放っておいてしまう例も少なくありません。
この様な場合は、義務の履行がないとして、その負担付遺贈にかかる遺言の取り消しを家庭裁判所に対して請求することになります。
しかし、長男Aは義務は履行した、母が勝手に出て行ったと主張することは明白です。
そこで!信託制度では、受託者に対し義務や責任を定め、違反した場合は信託監督人等が差し止め請求をすることもできますし、受任者を解任することも可能なのです。