認知症対策(遺言・生前贈与・家族信託・成年後見)

認知症対策・生前対策の費用と進め方

親御様やご自身が認知症になって判断能力が低下してしまうと、「銀行口座が凍結されて預金の引き出しや介護費用の支払いができなくなる」「実家や収益不動産の売却・修繕契約ができなくなる」といった重大な問題が生じます。

当事務所では、ご家族の状況や保有財産、将来の希望に応じて、最適な生前対策・認知症対策をご提案いたします。

① 遺言書の作成(公正証書遺言・自筆証書遺言・法務局保管制度)

自分の財産を「誰に・どの割合で引き継がせるか」を生前に指定する、最も代表的な相続・認知症対策です。

自筆証書遺言:手軽に紙とペンで作成できますが、形式不備で無効になるリスクや紛失・偽造の恐れがあり、相続開始後に家庭裁判所の検認手続きが必要です。

自筆証書遺言書保管制度:自筆した遺言書を全国の法務局で預かってもらう制度です。紛失・改ざんを防ぐことができ、裁判所の検認も不要になります。

公正証書遺言(最も確実・推奨):公証役場の公証人が法律に基づいて作成します。法的な無効リスクが極めて低く、銀行や法務局での相続手続きが最もスムーズに進みます。

項目司法書士報酬(税込目安)実費等
自筆証書遺言作成サポート66,000円
(税抜 60,000円)
戸籍謄本・登記事項証明書等の取得実費
法務局保管制度サポート88,000円〜110,000円
(税抜 80,000円〜100,000円)
・法務局申請手数料(遺言書1通につき3,900円)
・戸籍謄本・登記事項証明書等の取得実費
公正証書遺言作成サポート110,000円〜132,000円
(税抜 100,000円〜120,000円)
※証人(立会人)2名の立会費用を含みます
・公証人手数料(財産額により数万円程度)
・戸籍謄本・登記事項証明書等の取得実費

【注意】遺言は「死亡後」にしか効力を発揮しません

遺言書は万が一の相続争いを防ぐ強力な手段ですが、「本人が生きている間の財産管理」には一切使えません。生前のうちに「実家を売却して介護費用に充てたい」「賃貸管理を子に託したい」とお考えの場合は、次にご紹介する「生前贈与」や「家族信託」が適しています。

② 生前贈与(不動産の早期名義変更)

不動産を生前のうちに子どもや配偶者へ移転させておくことで、将来本人の判断能力が低下した場合でも、新しい所有者の判断で売却やリフォーム、賃貸借契約を自由に行うことができます。

項目司法書士報酬(税込目安)主な実費・税金
生前贈与による所有権移転登記88,000円〜110,000円
(税抜 80,000円〜100,000円)
※贈与契約書作成費用を含みます
・登録免許税:固定資産税評価額 × 2.0%
・戸籍・登記事項証明書取得実費
・贈与税(要確認)

【税金面の注意点】生前贈与は「贈与税」の対策が必須です

相続による名義変更(登録免許税0.4%)に比べ、生前贈与は登録免許税が2.0%と高く、さらに高額な贈与税が課される場合があります。税負担を抑えるために、以下の特例制度の活用を検討します。

  • 相続時精算課税制度:原則60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、2,500万円まで贈与税が非課税(相続時に相続税として精算)となる制度です(基礎控除年110万円枠も併用可能)。
  • 贈与税の配偶者控除(おしどり贈与):婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産(または購入資金)を贈与する場合、最高2,000万円まで控除されます。

※贈与税が高額になり生前贈与が難しい場合は、次の「家族信託」をご検討ください。

③家族信託(柔軟な資産管理・承継対策)

家族信託
家族信託
家族信託

家族信託とは、信頼できる家族(受託者:主に子ども)に財産の名義を預け、管理・処分を託す仕組みです。

生前贈与とは異なり贈与税を発生させずに財産の管理権面だけを子どもに移せるため、「親が元気なうちは親自身のために使い、認知症になったら子が実家を売却して施設入所費に充てる」といった柔軟な運用が可能になります。

家族信託の流れ

  • ご家族へのヒアリング・設計コンサルティング
  • 信託契約書の作成(公証役場で公正証書を作成)
  • 信託口口座の開設および不動産の信託登記
  • 受託者(子)による適正な財産管理の開始

【コスト面での注意】

家族信託は非常に自由度が高く優れた制度ですが、設計や契約書作成、信託登記など手続きが複雑なため、**司法書士等の専門家報酬が330,000円(税抜300,000円)〜**と初期費用が高額になりやすい側面があります。

家族信託の制度をこちらのブログで紹介しております。

①「家族信託の必要性を考える~信託とは?」 
②「家族信託で受託者を法人(一般社団法人)にする方法」

「不動産はなく、親の預貯金の管理・生活費の支払いだけを法的にカバーしたい」という場合は、次に紹介する「財産管理等委任契約」が費用を抑えられておすすめです。

④ 財産管理等委任契約(預貯金管理に特化した生前対策)

本人の判断能力がしっかりしているうちに、特定の家族(または専門家)に対して「自分の代わりに銀行口座の管理や生活費の支払いをしてほしい」と代理権を与える契約です。

項目司法書士報酬(税込目安)実費等
財産管理等委任契約書の作成88,000円〜110,000円
(税抜 80,000円〜100,000円)
・公証人手数料(約1万〜2万円前後)
・印紙代・謄本交付費用

実務上のポイントと運用のコツ

  • 金融機関での扱い:公正証書で作成することで法的な代理権を証明できますが、金融機関の窓口によっては「本人の意思確認が取れない」等の理由で窓口出金や手続きに難色を示されるケースもあります。事前に取引先銀行の対応を確認することが推奨されます。
  • 使途の透明化(相続トラブル防止):引き出した金銭の使い道について、後日ほかの親族・相続人から「勝手に使い込んだのではないか」と疑われるトラブルを防ぐため、「引き出した日付・金額・使い道をノートに記録し、必ず領収書・レシートを保管しておくこと」を強くおすすめします。

⑤ 認知症が進行してしまった場合の対策(成年後見制度)

事前の生前対策(信託や委任契約)を行わないまま本人の認知症が進行し、判断能力が不十分になってしまった場合は、家庭裁判所へ「後見申立」を行い、法的な代理人(後見人)を選任してもらう必要があります。

1. 法定後見制度(すでに判断能力が低下している場合)

家庭裁判所が後見人を選任し、本人の財産管理や介護契約等の身の回りの手続きを代理します。

項目司法書士報酬(税込目安)実費等
法定後見申立書類作成サポート165,000円〜220,000円
(税抜 150,000円〜200,000円)
・収入印紙代、予納郵便切手代
・鑑定費用(医師の鑑定が必要な場合:約5万〜10万円)
・戸籍謄本・登記事項証明書等実費

⑥任意後見制度(判断能力があるうちに将来の後見人を決めておく場合)

元気なうちに「将来認知症になったら、この人に後見人になってほしい」と契約を結んでおく制度です。

費用目安:司法書士報酬 88,000円〜110,000円(税抜 80,000円〜100,000円)+ 公証人手数料・登記費用

成年後見(法定後見)との違い

  • 自分で後見人(子どもなど)やお願いしたい仕事内容をあらかじめ決めることができます。

【重要】任意後見の注意点(後見監督人の選任とランニングコスト)

  • 本人の判断能力が低下して任意後見をスタート(発動)させる際、必ず家庭裁判所によって「後見監督人(第三者の弁護士や司法書士)」が選任されます。
  • 後見監督人に対する報酬(月額1万〜3万円程度)が本人が亡くなるまで毎月継続的に発生するため、生涯コストを考慮する必要があります。
  • そのため、任意後見は「生涯費用を払ってでも、将来の財産の使い道を特に厳密に指定したいケース(例:障がいを持つ子どもの生活費・養育費に確実に充てたい等)」において特に有効な選択肢となります。

まとめ:どの制度を選ぶべきか迷われたら

認知症対策・生前対策は、保有している資産の種類(不動産の有無)やご家族の関係性、対策にかけられるご予算によって最適な正解が異なります。
また、遺言書と、財産管理契約などを組み合わせて、対策する事が重要になる場合もございます。

当事務所では、初回のご相談時にご事情を丁寧にお伺いし、無理のない最適な対策プランとお見積もりをご案内いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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